「本当に割安な株って、一体どれなんだろう?」
株式投資をしていると、誰もが一度は考えるこの問い。今回はその答えを見つけるべく、50時間以上を費やして「日本一割安な株」を探し出す一大プロジェクトを実施しました!
単に僕個人の好みで選んだリストではありません。投資の神様ウォーレン・バフェットが「師」と仰ぐ伝説の投資家ベンジャミン・グレアムの哲学と、日本最強の個人投資家とも言われる清原達郎氏の考え方を基に、厳格な数式で候補を抽出。そこからさらに独自の視点を加えて、珠玉の銘柄を厳選しました。
それでは、日本一割安な株決定戦、スタートです!
「最強の割安株」の基準とは?バフェットの師匠グレアムの投資術
今回の銘柄選定の根幹にあるのが、ベンジャミン・グレアムが提唱した「ネットネット株(シケモク株)」という考え方です。
これは、会社の「解散価値」に注目する手法。もし会社が今すぐ事業をやめて全資産を現金化し、負債を返済した後に残るお金(正味流動資産)が、現在の株価の総額(時価総額)よりも大きいなら、その株は極めて割安だと言えます。
グレアムの基本式 (流動資産 − 総負債) > 時価総額 × 1.66
つまり、解散価値が時価総額の66%以上も上回っている状態です。
さらに、清原達郎氏のアイデアを参考に、この式に「有価証券(政策保有株など)の70%」を加えることで、より日本の実情に合った形にアップデートしました(残り30%は売却時の税金として考慮)。この強力な数式で、まずは機械的に割安株をリストアップします。
シンプルなだけじゃない!優良株を見抜く「5つのスパイス」
ただ数式でトップに出てきた銘柄が、必ずしも良い投資先とは限りません。時には、業績が悪化している「ダメな企業」が上位に来ることもあります。
そこで、リストアップされた銘柄の中から本物の「お宝」を見つけ出すため、僕は独自の「5つのスパイス」を加えて絞り込みを行いました。
- 割安性の「度合い」 もちろん、安ければ安いほど良い。同じ基準を満たしていても、より割安度の高い銘柄を優先します。
- TOB(株式公開買付)の可能性 近年、親子上場の解消や経営陣によるMBOなどが増えています。安定株主が少なく、資産価値に比べて時価総額が極端に低い企業は、TOBの対象になりやすいと期待できます。
- 株主還元の余地 すでに配当性向が高い企業より、まだ余力のある企業の方が将来の増配や自社株買いが期待できます。稼いだ利益を株主に還元する姿勢と余裕があるかを見ています。
- 事業の安定性 グレアムがEPS(1株あたり利益)の成長を重視したように、過去10年間赤字がなく、安定して売上や利益を上げている企業は安心感があります。
- 他社にはない「技術力」 これが最も重要かもしれません。いくら安くても、誰でも真似できる事業では未来がありません。その会社ならではの競合優位性や、独自の技術力があるかどうかを重視しました。
【厳選6銘柄】日本一割安株ランキング
お待たせしました。上記の厳格な基準をクリアした、珠玉の6銘柄を発表します!
それぞれの銘柄は既に超割安株ですが、細かく数字を見たい方は僕が株式情報交換用に作ったディスコードでデータを配布しているのでダウンロードしてください!
(もちろん無料です笑)

1. 松本油脂製薬 (4475)
1926年創業の老舗化学メーカー。界面活性剤のプロフェッショナルですが、特に面白いのが「熱膨張性マイクロカプセル」という独自技術。熱を加えると風船のように膨らむ微粒子で、自動車部品の軽量化による燃費向上(EVなら航続距離UP)や、塗料、建材など幅広い分野での応用が期待されています。この技術の市場は2030年にかけて倍増するとの予測もあり、大きな成長カタリストになり得ます。
2. ニッタ (5186)
1885年創業、産業用ベルトの国内トップクラスメーカー。この会社のすごいところは、バランスシートに眠る莫大な有価証券。その多くが政策保有株ですが、近年は売却による株主還元への期待も高まっています。一方で、自動車のEV化が進むと従来のエンジン関連ベルトの需要が減るという懸念点も。半導体製造装置向けクリーンルーム用ベルトなど、新規事業で時代の変化に対応できるかが鍵となります。
3. パーカーコーポレーション (9974)
自動車部品などに使われる金属のサビを防ぐ「防錆」技術や、工業用洗浄剤を得意とする専門商社。表面処理技術で圧倒的なシェアを誇る日本パーカライジンググループの一員であり、その安定感が魅力です。ここもニッタ同様、EV化によって求められる技術が変わってくる可能性がありますが、グループ全体の技術力で変化に対応していくことが期待されます。
4. 新コスモス電機 (6824)
世界で初めて家庭用ガス警報器を開発した会社で、国内シェアは約50%を誇るニッチトップ企業。「ガス事故をなくす」という理念のもと、近年では次世代エネルギーとして注目される水素社会を見据えた開発に注力。同社の水素センサーは、イギリスで進められている世界初の家庭用水素供給プロジェクトに採用されるなど、世界レベルでその技術力が認められています。
5. 栄和 (3537)
特定のメーカーに属さない「独立系の技術商社」。製造業の顧客に対し、「人手不足を解消したい」「DXを進めたい」といった課題解決のために、世界中の製品から最適なソリューションを提案する、いわば「工場の相談役」です。日本の製造業が抱える課題に寄り添うビジネスモデルは、今後も安定した需要が見込めます。
6. 保土谷化学工業 (4112)
100年以上の歴史を持つ化学メーカー。スマホやテレビのディスプレイに不可欠な有機EL材料で世界的に高い技術力を誇ります。さらに、次世代エネルギーのゲームチェンジャーとして期待される「ペロブスカイト太陽電池」の研究開発にも注力しており、未来への種まきも怠っていません。
まとめ:日本株にはまだ「お宝」が眠っている
今回の調査を通して改めて感じたのは、日本にはまだ市場に見過ごされた「お宝」のような割安株がたくさん眠っているということです。
アメリカやヨーロッパの市場では、これほどまでに資産価値に対して割安な株はほとんど見つかりません。企業の価値と株価のギャップに注目するグレアム流の投資法は、今の日本市場でこそ真価を発揮するのかもしれません。
もちろん、投資は自己責任ですが、この記事があなたの銘柄探しのヒントになれば幸いです。あなたが見つけた「隠れ優良株」も、ぜひコメントで教えてくださいね!
